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恋愛小説 川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』を読んだ感想

 

あらすじ

 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった――。究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。

 

感想

「光は何かに反射して初めて視覚できるものですから」光は反射して認知され、そしてやがて吸収される。人間の存在も、そうなのかなと。その人がもつ美しさは誰かに認知されて初めてその存在を知られる。そして美しさも命も永遠には続かない。人の命は花火のような儚い美だと思う。

登場人物のキャラクターがしっかりしていてそれぞれの立ち位置がわかりやすかったです。内向的な主人公の冬子とは逆に、自分の意見をはっきり伝える友人の聖。そして謎の多い三束さん。

人は皆それぞれの想いや事情を抱えながら生きていて、誰かに自分の存在を知って認めてもらいたいのかもしれない。そして誰もが自分にとって光になる誰かの存在を願っているのかもしれない。真夜中の恋人にやってくる朝はどんな結末を運んでくるのだろう。三束さんがしてくれる光と色の話、空が青い理由等とても面白かったです。

そしてこの本で紹介されているショパンの子守唄、とても美しいメロディーなので一度聴いてみてください。 

子守唄 (ショパン)

子守唄 (ショパン)

  • 及川浩治
  • クラシック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

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